日経MJ『教えて 消費のギモン』

2015年05月22日
発行:日本経済新聞社
幼児になぜ英語教育?
日経MJ『教えて 消費のギモン』
先日、学生時代の友人が4歳の娘を英会話教室に通わせ始めたと聞いた消費花子さん。自分の娘はまだ早いと思っていましたが、急に考え込んでしまいました。英語教育熱はなぜ幼児の間に広がるのでしょうか。今週は永井伸雄大阪経済部次長が答えます。

花子さん:小学校にあがる前から英語を勉強させる親は増えているのかしら。
永井さん:子どもの数は減少しているのですが、ここ最近、幼児の英語教育関連市場は拡大傾向にあります。矢野経済研究所(東京・中野)によると2014年度の英会話教材の市場規模は285億円と2年前に比べて14%伸びています。
少子化で子供の数は減っていますが、子供にかけるお金が増えているためです。
子どもの習い事の定番といえば、水泳やピアノなんでしょうが、最近はそこに英会話も入ってきています。
ミキハウス子育て総研(大阪府八尾市)が子育てママを対象に昨年調査した結果をみると、子供の習い事ランキングで英語・英会話が3位に入りました。
花子さん:なぜ、いま英語熱が高まってきているのでしょうか。
永井さん:かつては学校で英語を学び始めるのは中学校からでしたが、もっと小さいうちから授業に取り入れようという動きが強まっています。文部科学省では20年度にも小学3年から必修にする方針です。
親の意識はもっと進んでいます。ある調査では小学校の英語教育の早期化について8割の親が「良いこと」と回答しています。今後の英語教育に求めることでは「海外の子供たちとの交流の場を増やしてほしい」「とにかく英語話せるように教育してほしい」という声が多く、学校の成績を上げることを、そこまで重視していないようです。
花子さん:わかる気がします。私は英語はダメですが、娘には話せるようになってほしいですね。
永井さん:花子さんのような親の要望を受けて、小学校に先んじて、英語教育を導入する幼稚園や保育園が増えています。英会話スクール大手のECC(大阪市)は14年度末時点で1850施設に講師を派遣していますが、年10%程度のペースで増加しているとのことです。導入施設の8割が正課に組み入れています。教えている内容は遊びの要素を取り入れたり、歌を歌ったりして、英語の音声に慣れるといった要素が強いようです。
最近は働く女性が増えていることもあって、保育園での導入が目立っています。働くママにとっては保育園のほかに、英会話スクールに子どもを送り迎えするのは大変ですからね。施設側にとっても英会話を取り入れることは差異化につながります。特に私立幼稚園は少子化や働く女性の増加で、園児の数が減少傾向ですから、かなり積極的なようです。
花子さん:勉強させたいのはわかるけど、費用が心配ね。消費増税後は特に。
永井さん:ECCの教室は週1回通うと教材費込みで年10万円程度、ミキハウス子育て総研が日本橋高島屋(東京・中央)などで運営する英語教室も同20万円程度します。賃上げムードが広がっているとはいえ、そこまで余裕がある家庭は限られています。
「スポンサー」の存在が大きいのかもしれません。最近の子育て世帯では親の近所に住み、孫の費用の面倒をみてもらう例が増えています。孫の教育資金の贈与について一人1500万円までは非課税になる制度が13年度に始まりました。
花子さん:うちも娘のために親に頼もうかしら。
永井さん:学研ホールディングスは自社制作のアニメーションを見ながら英語に慣れる教室を始めます。楽器の家庭教師を派遣するエルパ(東京・港)は英語でピアノやバイオリンを教えるサービスを首都圏で開始するなど、選択肢が広がっています。