夢のようなホントの話

2005年02月03日
発行:スポーツ報知
就職 即 社長
夢のようなホントの話
就職と同時に即、社長に就任―。そんな夢のような話を女子大生がかなえた。音楽専門人材派遣会社・エルパ渡辺悠子社長(25)は現役の上智大4年生。インターンで働いていた会社が社長を社内公募し、立候補したら社員でもないのに選ばれた。社長になると同時に先輩社員が全員辞職、という事態に追い込まれることもあった渡辺さん。「人を使うことは難しいです」と険しかった ゛サクセスストーリ―"を振り返った。2002年11月、7人の゛社員たち"に配られたのは「次期社長公募」のアンケートだった。

(1) 社長になりたいですか?
(2) 社長には誰が適していると思いますか?
(3) なってはいけないと思う人は誰ですか?

その年の夏、就職活動に向けインターン中だった渡辺さん。
「いつかは社長もいいな」「まだ大学生だからなれるわけない」―。 いや、社長の前に正式な社員ですらない。(1) の「はい」の欄に○を記したのは、軽い気持ちからだった。

エルパの親会社は数年ごとにベンチャー企業を立ち上げており、杜氏の社長も別のベンチャー企業への“移籍”が決まっていた。つまり、空いた後任社長のイスを社内公募したのだ。ところが、インターン中の渡辺さんが社長になってしまった。 11月末の朝礼で突然発表。「えっ。どうしよう」頭が真っ白になったという。

「みんな『まさか最年少の学生にやらせるはずがない』
と思って推薦したのでは」と渡辺さん。「自分が正社員だったら恐れ多くて立候補できない。他の人もそうだったと思う」と分析する。

だが、試練はすぐに訪れた。翌日「この(最年少の大学生が社長を勤める)状況では仕事が出来ない」と社員全員が辞職。2003年1月に正社員となり、社長となったときには独りぼっちになっていた。

「泣き言は言えなかった」と当時を振り返るが、人手が一気に減った会社には顧客からのクレームが相次いだ。1人、2人と入ったアルバイトも激務で辞めていった。

「どうしよう・・・」

夜中の3時、誰もいないオフィスに座っていると涙がとまらなかった。社長とは言えども大学生。1,2月は学校の試験期間。だが一歩外出すると携帯電話は鳴り続けた。結局、卒業も1年伸びた。そんな心を癒してくれたのは「笑い」だった。

大学では友人達から「社長」とからかわれたが、そんな友人との会話では気が晴れたという。今も「つらかった事は・・・忘れた」と笑い飛ばす。そんな渡辺さんに、社員が少しずつ集まり始めた。2ヶ月後には新卒社員にも恵まれ、今は5人のスタッフに支えられている。 渡辺さんの給料は親会社が決めるが社員の月給は社長が決めている。「人を使うのは難しいんですよ」と笑顔の渡辺社長。今年大学卒業が決まった。